
蓮根農家の3代目。18歳から父の下で蓮根栽培を学び、27歳で独立し2008年に株式会社カワカミ蓮根を設立。27歳、カンボジアで精米事業をしている日本人と知り合い、水田でJapanese RENKONの試験栽培を開始。
日本では年に1作の所を2作出来るのかという挑戦に取り掛かるも資金不足で2年で断念。
自身の経営力強化の為熊本県農業経営塾で学び、農業コンクール新人王をとる。この新聞記事が玉名の北部農園会長の目に止まり、玉名市と熊本市で農業をやりつつ種子島でレタスと蓮根の輪作を2社共同で取り組むが、毎日強い風が吹く南種子町で蓮根の葉が吹き飛び収穫量が目標の半分となり、またも資金不足で2年で断念。
玉名市と熊本市の2拠点で生産を続け、弟が就農して(株)ワンベジタブル設立時熊本市の農地を全て弟に委ね、玉名市だけの拡大に取り組む。玉名市の栽培面積50ha間近になった2022に広島県からの企業誘致を受け東広島市に第二拠点を設置する

私は18歳の頃から父の下で蓮根栽培の基礎を学び始めました。当時の実家の経営スタイルは、毎年新しいアルバイトの方を雇い入れては一から仕事を教え、時期が終われば辞めていくサイクルの繰り返しでした。私はこの人材を教育し直す効率の悪さに疑問を感じ、従業員が安心して長く働き、技術を磨き続けられる「通年雇用」を実現したいと強く思うようになりました。そのためには、個人農家の枠組みを超え、組織として強固な経営基盤を作る必要があると考えました。そして27歳で独立を決意し、2000年に株式会社カワカミ蓮根を設立しました。
父は蓮根のブランディングに長けており、高品質なものを限られたお客様へ届ける販売手法をとっていました。それは素晴らしい経営でしたが私は「父のやり方では手が届かなかった層の一般的なお客様にも美味しい蓮根を日常的に届けて喜んでもらいたい」という理念を持っていました。そこで、父の路線とは全く別の販売網を自ら開拓することにしたのです。当時、世間で直売所ブームが起き始めており、私は各所のスーパーに設置され始めた地元の野菜コーナーなどを積極的に利用しました。市場の価格競争に巻き込まれるのではなく、自分たちで価格決定権を持てる独自のビジネスモデルを展開することで、安定した収益基盤の構築を目指したのです。現在では玉名市と東広島市に拠点を構えるまでに成長しました。
現在、日本人スタッフ約17名、外国籍スタッフ約40名、パート従業員を含めると計70〜80名規模の組織へと拡大しました。平均年齢は32〜33歳と非常に若く活気にあふれています。私たちの採用方針は、特定の農業高校出身者や経験者に限定せず、一般的な求人媒体を通じて多様な経歴を持つ人材を積極的に受け入れることです。例えばコロナ禍を機に飲食業界から入社してくれたスタッフもいます。農業初心者が多いからこそ、既存の固定観念にとらわれない自由な発想を持っています。多様な前職の経験から生まれる意見を集約し、全社ミーティングや予算会議などで活発に意見交換を行っています。
私たちは農業版ISOとも言える国際認証「グローバルギャップ」を取得し、継続的に更新しています。これは組織的な経営体制と安全管理を世界基準で徹底している証明です。私は農業を単なる作物の栽培ではなく、不動産、金融、法務、薬学、気象学など、あらゆる知識が総合的に求められる「総合学問」だと捉えています。農地をお借りする地権者様との関係構築や、自然災害への迅速な復旧対応など、多角的な視点での経営判断が不可欠です。社内でもグローバルギャップ管理、不動産、SNS広報、さらにはAIプロジェクトチームなど、スタッフが適材適所で能力を発揮し組織を支えています。











蓮根は地下の泥の中で栽培する作物であり、土壌環境が品質や収量に直接影響します。私たちは現在、1枚の畑から収穫できる蓮根の量を劇的に倍増させる計画を推進しています。その中核となるのが、ウクライナなどに広がる世界有数の肥沃な土壌「チェルノーゼム」を私たちの畑に人工的に再現するという前例のない土壌改良の研究です。今年から本格的にスタートするこの計画には、3年間で約3億円を投資する見込みであり、すでに銀行からの融資承諾も得ています。地下栽培の特性を活かし、最新の技術で土壌構造を根本から改善することで、圧倒的な生産性向上を実現し、これまでの農業の限界を突破したいと意気込んでいます。
今後の大きな展望として、蓮根という食材を皆様にとってより手軽で身近な存在へ変えていくことです。30代から40代の子育て世代をターゲットにコーンの缶詰のように「常備・便利・手軽」な食卓の彩りとして蓮根を普及させたいと考えています。そのステップとして、現在冷凍食品の「フライド蓮根」などの加工品開発を進めており、来年からはマツダスタジアム等での販売開始を目指しています。皮むきやアク抜きの手間を省き、子供でも食べやすい蓮根を提供することで、従来の概念を大きく覆したいです。また、新規就農者には入手の難しい「種蓮根」を提供し、次世代を担う若手農家への支援を積極的に行い、農業の魅力を伝えていきます。
農業という仕事は、しっかりとした経営と工夫を行えば、これほど儲かり、やりがいのある職業はありません。私たちは一般的な企業と遜色のない高い水準の労働環境と給与を実現しています。次世代を担う若者たちに、農業を人生の魅力的な選択肢の一つとして強くお勧めします。共に新しい農業の未来を創りましょう。