
有限会社林修造場。16代目。東京の農業大学卒業後、ソムリエとして修業を積み、家業を継承。伝統の球磨焼酎の製法を守りつつ、独自の挑戦を続け、その魅力を世界へ発信している。
https://www.gokuraku-shochu.jp/index.html
当社は球磨焼酎の製造販売を手がけており、創業から約400年の歴史を持っています。もともとは相良藩の藩主の宿泊地であった場所が宿だったという背景があり、そこで酒造りも始まったのがルーツです。私は東京の農業大学を卒業後、すぐに家業を継ぐつもりはなく、当時からワインなどのお酒に興味があり、ソムリエとしてフレンチレストランなどで修業を積んでおりました。その後、前任の杜氏の引退、父の希望などの為帰郷を決意しました。当時は全く別の道を歩んでおりましたが先代や家族の歩んできた歴史を受け継ぎ杜氏として頑張っていました。兄(14代目)の急逝、義姉(15代目)の意向もあり昨年より16代目として蔵を守る道を歩み始めることになりました。
お酒のジェネラリストとしてあらゆるお酒を網羅したいという想いがあったため、ワインや他のスピリッツ、清酒の世界から焼酎の製造へとフィールドが移ることには自然と興味を持って取り組むことができました。しかし、実際の酒造りは想像以上に奥が深く、長年培われてきた伝統的なレシピや職人たちの手仕事の緻密さに驚かされることばかりでした。最初は右も左もわからない状態からのスタートでしたが、かつて自分が学んだお酒の知識やテイスティングの経験が現在の独自のブレンド技術や新しいお酒造りの発想にも大いに活かされていると感じております。代々受け継がれてきた伝統を守りつつも自分のこれまでの経験を掛け合わせることで、新しい価値を生み出せることに大きなやりがいを感じています。
私たちの最大の特徴はお米の甘みを最大限に引き出す独自の製造手法にあります。一般的な酒造りでは寒い時期に仕込むことが多いですが、私たちは「春仕込み」という、あたたかい時期にあえて仕込む手法をとっています。しかも、60日近くという長期間にわたって発酵をじっくりと行わせることで他社とは一線を画す深い味わいと濃厚な米の甘みを実現しています。この製法は非常に手間がかかり、周囲の環境や温度管理にも細心の注意が必要ですが、私たちが代々大切にしてきた「お米の旨味と後キレの良さ」を追求するための絶対的な答えとなっています。
基本となる大筋のレシピや伝統はしっかりと守り続けていますが細かな温度管理や発酵のプロセスにおいては、ここ10年〜15年の間で現在の時代に合わせたやり方にアップデートしてきました。周囲のメーカーから見れば「そこまでしなくてもいいのに」と思われるほど手間をかけているかもしれませんが、この丁寧なプロセスこそが私たちが目指す味わいを生み出す源泉となっています。古いものをただそのまま繰り返すのではなく、時代の変化や求められる品質に合わせて進化させていくことこそが、400年の歴史を持つ私たちが今もなお大切にしている姿勢です。















今後の展望として、私たちは「ザ・ワン」つまり球磨焼酎という分野において「これしかない、ここにしかないおいしいお酒がある」と世界中から指名される唯一無二の存在になることを目標に掲げています。日本国内だけでなく、海外の市場においてもウイスキーやブランデーのように広く愛されるお酒としてのポテンシャルが球磨焼酎にはあります。今後は国内はもちろんのことしてインバウンドのお客様や海外展開にさらに力を入れ、世界中の人々に私たちが丹精込めて作り上げた私たちの焼酎を届けていきたいと考えています。規模をただ大きくするのではなく、品質とこだわりにおいて「”ナンバーワン”より”ザ・ワン”ザ・ゴクラク”」と言っていただけるブランドを築き上げていくことが、私の強い決意です。
具体的な挑戦の一つとして焼酎の枠を超えたブレンダーとして、世界的なコンテストを見据えた新しいお酒造りに取り組んでいきたいです。今も密かに動いているのですが、これまでに作ったお酒がコンテストで金賞を受賞した経験もあり、私たちのブレンド技術や物づくりのアプローチは世界でも十分に通用すると確信しています。また単にお酒を販売するだけでなく、蔵の見学や体験を通じてこの地域の魅力をまるごと味わっていただけるような観光事業的なアプローチも視野に入れています。伝統ある球磨焼酎の可能性をさらに広げ、次の世代へと繋ぐための新しい試みに、これからも果敢に挑戦し続けてまいります。
変化の激しい時代ですが、どうか夢や目標に向かって諦めないでください。多くの情報の中から自分の進むべき道を選び、失敗を恐れずに挑戦し続けることが大切です。その先には、まだ見ぬ素晴らしい景色『THE ONE』が広がっているはずです。