
東京都生まれ熊本県育ち。造園家の父から環境の大事さ、医者の祖母から命の尊さを学び、九州造形短期大学デザイン科卒業。その後、造園建設会社にてハウステンボス建設事業で造園設計業務に携わる。
2001年に熊本県女性第1号樹木医となり 2002年に日本初の樹木CTスキャン事業を開始 2014年株式会社木風を設立 。完全テレワークの導入や女性技術職の支援にも注力 。
TBS「情熱大陸」出演。

私のルーツには環境の大事さを教えてくれた造園家の父と命の尊さを背中で示してくれた医師の祖母がいます 。二人の影響から自然と「命を救い、環境を守る仕事がしたい」という想いが芽生えていました 。当初は獣医師を目指した時期もありましたが、
里帰り出産の際、父が持っていた樹木医のテキストに出会ったことで「これこそが私の天職だ」と確信したのです 。樹木も人間と同じ生き物であり病気や怪我をします 。当時は樹木医を専業にする会社もほとんどない時代でしたが、子育てをしながら必死に勉強を重ね、熊本県初の女性樹木医となりました 。父の造園会社を引き継いだ後、さらなる挑戦のために株式会社木風を創業しました 。
従来の樹木医の診断は木槌で叩いた音を聴くなど、職人の経験や勘に頼る外観診断が主流でした。しかし、それだけでは大木の内部の腐朽度を正確に把握することは困難です。そこで私はドイツ製の音波精密診断機器を日本で初めて事業として導入しました 。音波によって内部の腐朽度を視覚的に測定できるこの技術は樹木の健康状態を科学的に把握することを可能にしました。業界に先駆けてこの精密診断を確立したことが当社の最大の強みであり、優位性となっています 。大切にしているのは「目的地まで早く行きたかったら一人で行け。遠くまで行きたかったらみんなと行け」という言葉です 。確かな技術を持ったチームで、貴重な天然記念物やご神木などの診断治療に向き合っています 。
樹木医の現場は肉体労働の側面が強く、体力面において男性主導の業界であることは否めません。男性と同じ土俵で肉体的な成果だけを追い求めても、持続的な優位性は築けないという危機感がありました。そこで私は自身の知識と精密診断機器を駆使した独自の地位を築くことに注力しました。さらに個人の技術だけに依存する経営から脱却するため、ビジネスモデルの多角化を進めました 。具体的には樹木の活性化を促す環境改良資材「ブレスパイプバンブー」などの商品開発を行い、代理店制度を構築して物販の柱を作りました 。また、樹木医を目指す方々のための予備校・セミナーといった教育事業も展開しています 。直面したピンチを多角的な視点でチャンスに変えていくことこそが、会社を成長させる原動力となっています。
奄美大島は医師であった祖母がかつて赴任していた縁の深い場所です 。そこでデイゴの大木の治療を手がけたことが、木風にとって初めての大きな仕事であり、今も続く挑戦の象徴となっています 。現場のデイゴは深刻な病に侵されており、治療の成果が目に見えて現れるまでに長い時間を要しました 。当時、周囲の一部からは「花も咲かないのにお金ばかり使っている」といった厳しい批判を受けることもありました。しかし、花を咲かせる以前に、まずは木を「枯らさないこと」が最優先だったのです。目に見えない治療のプロセスを一般の方々に理解してもらう難しさに直面した苦しい時期でしたが、諦めずに寄り添い続け、現在では2期4年目の受託を迎え、当社の代表的な治療例となっています 。











海外事業のきっかけは、当時のスタッフが「発展途上国の支援に繋がる事業をしたい」と提案してくれたことでした。ジェトロの支援を受けてベトナムに赴き、現地での挑戦が始まりました。当社の環境改良資材「ブレスパイプ」は当初プラスチック製でしたが、現地の方から「豊富な竹を使って作ったらどうか」というアイデアをいただいたのです。これにより、ベトナム産の竹筒を使用した循環型土壌改良資材「ブレスパイプバンブー」が誕生し、特許(第6656660号)も取得しました 。現在は、ベトナムで竹筒を製造して日本へ輸入し、国内で中身を詰めて販売するという途上国支援の仕組みを確立しています 。さらに、この資材をベトナム現地でも流通させるべく、気候や土壌の違いといった壁を乗り越えながら、実証実験を重ねています 。
Q:今後の長期的な目標や、社会貢献を軸とした新たな事業展開への展望についてお聞かせください。
私たちは一貫して「樹木のチカラで世界を豊かに美しく平和に」というミッションを掲げています 。これまではプレイヤーとして目の前の木を治すことに全力を尽くしてきましたが、今後は「社会起業家」としてより大きな循環を作りたいと考えています 。その一環として「一般社団法人日本樹木遺産協会」を設立し、副理事として活動を推進しています 。具体的には、企業のCSR活動と結びつけ、企業からの寄付や支援によって全国の恵まれない樹木を救う社会事業の仕組みを広げています 。ゆかりのある熊本でも、地元の企業様と連携して大切な樹木を守る取り組みを進めていきたいです。今後はITやAIを活用したプラットフォームの構築にも注力し、世界中の樹木の価値を高めてまいります。
何かを始めるとき、一人で悩まずに自分の熱い思いを周囲へ発信してください。真剣に向き合い、力になってくれる大人はたくさんいます。私自身、多くの人に助けられて今があります。周囲の意見をたくさん聞き、失敗を恐れずに挑戦してください。ただし、最後の決断だけは必ず自分の意思で行うことです。