
株式会社アスリートクラブ熊本 代表取締役社長。平田機工株式会社に約40年間勤務し、広報や財務などを経験。2018年の熊本地震後、胸スポンサー契約の窓口としてクラブ支援に尽力。前社長からの打診を受け、同社退職後にアスリートクラブ熊本の社長に就任。「県民に元気と夢を」を掲げ、地域と共に歩む。
https://roasso-k.com/私たちアスリートクラブ熊本はJリーグに所属するプロサッカークラブ「ロアッソ熊本」を運営する会社です。JリーグにはJ1、J2、J3というカテゴリーがあり、全60チームが熾烈な戦いを繰り広げています。ロアッソ熊本は昨年惜しくも勝点1の差で降格となり、現在はJ3のカテゴリーに位置しています。しかし、どのような状況にあっても「県民に元気を、子ども達に夢を、熊本に活力を」というクラブ理念のもと、熊本の皆様に感動を届けるべく日々全力を尽くしています。近年、Jリーグではシーズン移行などの改革が進んでいますが、国際大会や海外移籍との兼ね合いがスムーズになるメリットがある一方で、日本の寒冷地対策や猛暑対策など地域の気候に応じた課題もあります。私たちはそうした変化にしなやかに対応しながら、未来を見据えたクラブ運営を続けています。
私たちの最大の特徴は特定の親会社を持たず、県民活動の中から誕生したクラブであるという点です。大企業の傘下にあるチームとは異なり、まさに熊本県民の皆様との「強い一体感」こそが私たちの原動力です。現在、地元熊本を中心に約500社もの企業様にスポンサーとして熱いご支援をいただいております。このサポート企業の多さは全国的に見ても非常に誇れる実績であり、地域社会に深く根ざしている証でもあります。1試合平均で約6,000人ものサポーターがスタジアムに足を運んでくださり、2週間に一度、地域が一体となって熱狂できる場を生み出しています。試合日にはゲートで私自身がサポーターの皆様をお迎えしますが、街中で買い物をしている際にも気軽に声をかけていただけるほど、サポーターや地域の方々との距離が近いアットホームで温かい文化が根付いています。

私はもともと、ロアッソ熊本のトップパートナーである平田機工株式会社に約40年間勤務していました。広報や財務などの業務に携わる中でロアッソ熊本との交渉窓口を担当していたのが直接のきっかけです。2016年の熊本地震の際、熊本全体が大きな被害を受け、ロアッソ熊本も練習場所すら確保できない厳しい状況に追い込まれました。その時、当時の平田機工の社長と共に「傷ついた熊本を励まし、復興の力になりたい」という強い想いから2018年に胸スポンサーとなることを決断したのです。その後、クラブの支援に情熱を注いでいたところ、前社長から「自分の後を継いでほしい」と熱心な打診を受けました。平田機工を退職するタイミングでもあったため、激動のクラブを支える覚悟を決め、代表取締役社長に就任いたしました。
実は学生時代から「いつかは経営者になりたい」という強い成長意欲や野望を抱いていましたので、経営の舵取りを行うこと自体にためらいはありませんでした。しかし、スポーツビジネスには企業の一般経営とは異なる特有の難しさがあります。それは、どれだけ企業の財務や組織運営をクリーンで健全な状態に整えても、チームの試合結果や成績によって評価が大きく左右されるという点です。チームの勝利と健全な財務基盤の維持という、二つの要素を両立させることは容易ではありません。しかし、スタジアムで勝利を掴み取り、大勢のサポーターが満面の笑顔で感動を分かち合う瞬間を目にすると、すべての苦労が報われるほどの大きなやりがいを感じます。地域の皆様に活力を与える存在であり続けることこそが、私の経営の根幹です。















私たちは熊本市だけでなく、熊本県内すべての自治体と共に地域を盛り上げる「火の国もりあげタイ!」というプロジェクトを展開してきました。この取り組みでは選手たちが熊本県内各地の自治体へ直接出向いて交流を図るほか、各地域の魅力的な特産品や観光資源をクラブのSNSなどを通じて全国へ発信しています。すでに県内すべての市町村との連携を一巡させ、地域経済の活性化に寄与してまいりました。さらに、自治体の職員の皆様にはロアッソのロゴや熊本県の人気キャラクター「くまモン」をあしらったオリジナルのポロシャツをご購入いただき、業務中に着用していただくなど行政の皆様とも深固な協力関係を築いています。単なるスポーツチームの枠を超え、地域課題の解決や街づくりに共に挑むパートナーとして歩みを進めています。
私たちが今、最も果たすべき目の前の使命は、新シーズンにおいて何としても「J2に復帰する」ことです。単に勝ち上がるだけでなく、確固たる強さを持って元のステージへ戻ることが最優先課題です。そしてその先には、常に「J1昇格」という高い目標を掲げ続けなければならないと考えています。高い目標を持ち続けることこそが、クラブ全体のレベルを引き上げ、サポーターに夢を与え続ける原動力となります。そのためには、若手を育てるアカデミー組織の強化や、さらなる支援企業の獲得による強固な財務基盤の構築が不可欠です。熊本には約170万人の県民がいらっしゃいますが、まだスタジアムで生の試合観戦を体験したことがない方も多くおられます。スタジアムに来ていただければ絶対に人生観が変わるほどの感動があります。より多くの方々に足を運んでいただける魅力的なクラブを作り上げ、熊本全体をさらに元気にしていきます。
「何をやっても上手くいかない」と感じることがあっても自暴自棄にならないでください。それはあなたが恐れずに多くの挑戦をした証拠です。もう一歩踏み出せば、必ず道は開けます。置かれた状況を前向きに捉え、苦労を糧にして諦めずに努力を続ければ、思いは報われます。情熱を持って挑戦し続け、自らの未来を掴み取ってください。